三井造船技報

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三井造船技報

第196号
三井造船技報 第196号(平成21年02月発行)
表紙説明: 最新鋭の鋼板切断工場
最新鋭の鋼板切断工場
三井造船玉野艦船工場では更なるコストダウンを目指すため、ブロック組立内製率を向上すべく、船舶建造の最上流工程となる鋼板の切断加工を行う「深井鋼板切断工場」を岡山県玉野市に建設、2008 年8 月に本格稼動を開始した。
「深井鋼板切断工場」は、鋼板の陸揚げ・ストックを行うヤード及び切断加工を行う建屋2棟を配し、従来の約1.7 倍に当たる8 000 トン/ 月の切断処理能力を有する。
主要設備として、新塗装基準対応のショットブラスト・塗装装置と最新鋭のNC 切断機(プラズマ切断機3台、レーザー切断機2台)を持ち、高効率・高精度に鋼板の切断加工を行う。
日本の造船業界で初めてレーザー切断機を1992 年に導入した先駆の玉野艦船工場は、「深井鋼板切断工場」の稼動を機に更なる飛躍を目指す。


II 製品・技術ニュース
全文PDF(283KB)
  • ブラジル向けFPSOほか3基のFPSO/FSOの操業を開始
    【問い合わせ先】
    三井海洋開発株式会社 石油開発事業部 技術部
    TEL 03-6203-0200 川瀬 雅樹
  • 三井海洋開発のFPSO向け電気制御室を完成・出荷
    【問い合わせ先】
    三井造船千葉機工エンジニアリング株式会社 設計部
    TEL 0436-41-1221 小林 雅志
  • 水中ロボットによる長距離サイホン管路の水中点検
    -農業用長距離サイホン管路の内部調査を実施-
    【問い合わせ先】
    営業総括本部 北海道支社
    TEL 011-736-0036 多賀 公一
    船舶・艦艇事業本部 特機・水中機器部
    TEL 03-5202-3521 野口 正男
I 技術論文・報告
1. オゾン利用によるバラスト水処理システムの開発
植木 修次、大西 泉、宮鍋 僚一、本田 健一、斉藤 政宏、上條 絵美子

本システムは、バラストポンプの吐出配管に2組のスリット板を装着したスペシャルパイプの物理的作用と、処理流量に対して3mg/Lの濃度で注入するオゾンの酸化作用及びオゾンと海水中の臭素イオンの反応で生成される関連物質(臭素酸イオン、ブロモホルム、残留オキシダント)の殺菌作用により、バラスト水中の水生生物等を殺滅する装置である。
本システムの特長は、(1)IMOで採択されたバラスト水排出基準(D-2規則:50μm以上の水生生物は10個体未満/m3、10μm以上50μm未満の水生生物は10個体未満/mLなど)を達成する高い殺滅性能をもつ、(2)船上でオゾン生成を行う自己完結型である、(3)オゾンによる乗員への健康被害と船体の腐食を起こさない、(4)排出バラスト水に残留する毒性を除去する、(5)モジュール化、コンパクト化が図られている、(6)乗員によるバルブ操作を必要としない自動化システムである。

全文(606KB)

【問い合わせ先】
船舶・艦艇事業本部 事業開発部
TEL 03-5202-3520 宮鍋 僚一、本田 健一
2. 深海耐圧容器用新素材の開発
汪 文学(九州大学)、羅 冬梅(佛山科学技術学院)、高雄 善裕(九州大学)、松原 監壮(九州大学)、小原 敬史、中根 健志

本研究は、外圧の加わる深海耐圧容器用新素材としてCFRP(炭素繊維強化プラスチック)と金属(アルミニウム合金またはチタン合金)とを積層したハイブリッド材を提案し、非線形数値解析と製作方法の研究、1/3モデルによる耐圧実験を行い、その実現性を調べたものである。耐圧容器の大変形及び金属層の弾塑性を考慮した非線形解析と弾塑性座屈解析を行い、CFRPの積層構造による耐圧強度及び座屈挙動への影響を明らかにし、ハイブリッド材耐圧容器に適した積層構造を提案した。非線形解析の結果、ハイブリッド材耐圧容器は金属耐圧容器に比べ高い比強度が得られた。この解析結果を検証するため、1/3モデルのアルミニウム合金耐圧容器及びCFRPとアルミニウム合金のハイブリッド材耐圧容器を製作し、静水圧耐圧実験を行った結果、単純に重量当たりの強度で見た、ハイブリッド材耐圧容器の比強度はアルミニウム合金耐圧容器の比強度より55%高いことを確認した。

全文(797KB)

【問い合わせ先】
船舶・艦艇事業本部 特機・水中機器部
TEL 0863-23-2246 小原 敬史
3. 溶融スラグに対する廃棄物溶融炉用耐火物の耐食性向上技術の開発
助永 壮平、山岡 由宗、齊藤 敬高、中島 邦彦(以上、九州大学大学院)、難波 政雄

三井造船は、廃棄物を熱分解・燃焼溶融し、有害物生成の抑制、灰の減容化などを行うシステムの建設・運転を通して環境保全に貢献している。この設備の安定な稼動には、高温及び高腐食性の溶融スラグに対して長期耐久性を有する耐火物が不可欠である。九州大学工学研究院材料工学部門は、溶融スラグの組成とスラグ粘度などに関する研究で、カリウムの特異な挙動を発見した。九州大学と三井造船は、この知見に基づき、安価な材料を用いて耐久性を発現する耐火物の技術を共同開発している。
本開発では、一般的な酸化物であるジルコニアやマグネシアスピネルなどを主材とし、カリウム系化合物を添加材とする耐火物系を新規に試作した。溶融スラグ中で試作耐火物の耐食性を評価し、クロムを含有する従来材と比較した結果、耐食性は同程度であるが、安価な材料組成を見出した。

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【問い合わせ先】
技術本部 玉野技術開発センター
TEL 0863-31-9613 難波 政雄
4. 鋳造合金の耐高温腐食性と溶接性の評価
小野 昇造、入江 隆博、鎌田 勤也、松野 進(クリモトメック株式会社)

廃棄物焼却プラントでは、高温燃焼に伴う廃熱を可能な限り回収することが望まれている。従来よりも高温領域に熱回収装置を設置する場合の課題としては、アルカリ塩化物及びアルカリ硫酸塩の共晶が当該部材へ溶融状態で付着することによる腐食の加速が挙げられる。したがって、当該環境下で高い耐高温腐食性を示す新合金の開発及び導入が求められる。また、溶接部に母材と同等の耐高温腐食性を発現させるためには、新合金の共金溶接方法を確立することが必要である。
そこで、高温領域熱回収部品の長寿命化を目的として、市販耐熱鋳造合金の組成を参考に10種の改良合金を試作し、実験室での高温腐食試験に供した。その結果、Mo、Siを同時添加したNi-Cr合金の腐食減量が最も低く、SUS310S比で約1/3であった。更に、同合金の共金溶接方法を確立し実用化の目処をつけた。

全文(336KB)

【問い合わせ先】
技術本部 玉野技術開発センター
TEL 0863-31-9613 小野 昇造
5. 鍛造前加熱用誘導加熱装置の電磁場・温度場連成解析
高橋 則雄、宮城 大輔(以上、岡山大学大学院)、内田 直喜、川中 啓二

鍛造前ビレットヒータでは、加熱開始初期、スタンバイ中及び再加熱時に無駄焼き材が発生し、その量は、全体の5~15%にも達している。この無駄焼き材の低減のために、温度によるビレットの磁気特性,導電率,比熱,熱伝導率などの変化を考慮した解析を行い,ビレットヒータの制御法を確立する必要がある。
本報では,まず、高温でのビレット材の磁気特性の測定を行った。次に、誘導加熱装置の電磁場・温度場連成解析において,熱伝導と熱放射,並びに温度上昇による磁性体の各物性値の変化を考慮した三次元渦電流解析を行い,ビレット内の各部の渦電流損と温度分布の時間的変化を明らかにした。また,実測値との比較を行い,シミュレーション結果の妥当性を検討した。このように、温度による抵抗率のみならず、透磁率の変化までを定量的かつ連続的に取り扱うことにより、誘導加熱装置内で実際に生じている現象を精度良く解析できることを明らかにした。

全文(625KB)

【問い合わせ先】
機械・システム事業本部 機械工場 パワーエレクトロニクス設計部
TEL 0863-23-2439 川中 啓二
6. 2種類のタンパク質相互作用を同時に計測するフローサイトメトリー装置の開発
星島 一輝、林 弘能、中田 成幸、佐藤 功一、土井 恭二

ライフサイエンス分野では、ゲノム解析に続いて、タンパク質の相互作用を中心としたシグナル伝達に関する研究の重要性が増してきている。特に、生きた細胞内でタンパク質の相互作用を検出できる蛍光共鳴エネルギー移動(FRET)を利用した手法が注目されており、今後は複数のタンパク質相互作用を同時に計測する技術へ発展することが望まれている。
三井造船は、蛍光寿命計測により多数の細胞に対してFRETを高速かつ正確に評価できる蛍光寿命フローサイトメトリー装置を開発し、その有効性を確認してきた。今回、2色の励起レーザの混信を防ぐ仕組みを新規開発し、2種類のタンパク質の相互作用を同時に検出する2レーザ蛍光寿命フローサイトメトリー装置を開発した。蛍光寿命計測のメリットを活かし、シンプルな装置構成で2種類のFRETを同時に評価できることを確認した。

全文(443KB)

【問い合わせ先】
技術本部 玉野技術開発センター
TEL 0863-31-8512 星島 一輝
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