三井造船技報

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三井造船技報

第199号
三井造船技報 第199号(平成22年02月発行)
表紙説明: ディーゼルエンジン新組立工場
ディーゼルエンジン新組立工場
三井造船は、玉野事業所機械工場にディーゼルエンジンの新組立工場を建設し、2009 年7 月に本格稼働を開始した。 今回新設した工場では、シリンダの口径が500 mm のディーゼルエンジンの組立及び試験運転を行う。同型機関はこれまでもタクト生産方式を採用し、5 日間で1 台の組立、試験運転を行なってきたが、新工場では3 日間に1 台行うことが可能であり、年間80 台(約100 万馬力)の製造を予定している。
新組立工場においては、環境に配慮し、運転時に電気使用量を削減できるシステムを導入している。エンジンの冷却水(温水)の熱を熱交換器により回収し、潤滑油の洗浄時の加熱や燃料油の温度コントロールに使用することで、従来使用していた電気式ヒータを不要とした。また、潤滑油や冷却水を供給する電動ポンプをインバータ制御することで、運転するエンジンの大きさに合わせ電力を最小限に抑えるなど省エネ化を図っている。


III 製品・技術ニュース
全文PDF(371KB)
  • 水中ロボット“RTV-KAM”を用いた2,500 m 水路内部点検
    -水中ロボットによる初めての超長距離点検に成功-

    【問い合わせ先】
    営業総括本部 関西支社
    TEL 06-6447-2001 田淵 和稔
    船舶・艦艇事業本部 特機・水中機器部
    TEL 03-5202-3530 野口 正男

  • 町田橋上部工事
    -低桁高・低コストを実現したMDブリッジの第1号橋-

    【問い合わせ先】
    鉄構・物流事業本部 管理企画部
    TEL 03-5202-3901 皆田 龍一

  • 東京港臨海大橋(仮称)若洲側アプローチ橋梁架設工事
    -RC 橋脚と一体化された複合ラーメン橋の架設-

    【問い合わせ先】
    鉄構・物流事業本部 建設工事部
    TEL 03-5202-3902 濱部 兼幸

  • 市原グリーン電力㈱バイオマス発電事業
    -燃料安定供給による連続稼働状況-

    【問い合わせ先】
    事業開発本部 プロジェクト部
    TEL 03-5202-3982 山出 昇平

  • 入退セキュリティシステム“MSSX”
    -複数の敷地や建物及び部屋への人、車両の入退管理-

    【問い合わせ先】
    三井造船システム技研株式会社 HTMソリューション事業部
    TEL 043-274-6194 前田 真宏

I ディーゼルエンジン・ガスエンジンの環境対応技術小特集
1. 中型及び大型エンジン用ターボチャージャ直結型発電システムの開発
近藤守男、嶋屋宏基

地球温暖化の問題がますます重要視されている状況において、舶用ディーゼルエンジンから排出されるCO2は、燃料節約により低減されることが求められている。大型舶用2 ストロークディーゼルエンジンでは、投入燃料のエネルギーの27.8% が、排気ガス熱量として利用されずに大気に排出されている。一方、ターボチャージャの効率向上に伴い、大型舶用ディーゼルエンジンでは、ターボコンパウンドシステム(TCS)を通じて、余剰排ガスエネルギーからの動力回収が可能になっている。
三井造船は、TCS の代替手段として、世界最大級の高効率ターボチャージャ“Mitsui-MAN TCA88”を対象として、高速発電機とターボチャージャを直結したターボチャージャ発電装置(TGU)を、西芝電機株式会社と共同開発した。本TGU は、減速機が不要で信頼性の高い構造になり、合計出力で2 ポイント向上(相対的に4% 改善)を達成できた。

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【問い合わせ先】
機械・システム事業本部 機械工場 技術開発部
TEL 0863-23-2360 近藤 守男

2. 高出力ガスエンジンの燃焼現象の解明
田島博士、高崎講二、杉浦公彦、国光 求

大型ガスエンジンの高効率化に関する研究は、九州大学との組織連携事業として平成18 年度から着手し、異常燃焼の原因解明と制御法の確立を目的として、様々な燃焼実験や数値解析を進めてきた。
まず、異常燃焼の原因となる事象を提起し、検証に必要な解析手法や計測装置の仕様を決定した。次に、エンドガスまでの火炎伝ぱを観察できる急速圧縮膨張装置を製作し、実機相当の圧縮条件を実現した。また、潤滑油飛まつを自着火源とする火炎核の生成と成長がパイロット噴霧を含むその後の火炎伝ぱに大きく影響することを初めて明らかにした。さらに、都市ガス中のブタンの影響やエンドガスの自着火反応を予測するため、詳細化学反応計算と3 次元CFD を組み合わせたシステムを構築し、数値解析によっても、異常燃焼を含む実機と同等の燃焼再現が可能であることを示した。

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【問い合わせ先】
機械・システム事業本部 機械工場 ディーゼル設計部
TEL 0863-23-2530 杉浦 公彦
3. レーザによる燃焼制御技術の開発
-ガスエンジンの新しい着火方式の試み-
古谷博秀、稲見昭一、宮田淳也

環境負荷が小さく、効率や設備費の点でも有利なガスエンジンが注目されている。ガスエンジンの着火方式には、点火プラグ、補助燃料の自着火を利用する方法があるが、効率を追求すると耐久性やNOx が問題となってくる。
レーザ着火は、自動車エンジン用の開発も行われている有望な技術である。レーザ着火をガスエンジンへ適用するための着火基礎試験を行い、さらに試作した単気筒ガスエンジンで運転試験を行った。試験の結果、図示効率を十分高く保つことのできる当量比が、従来のスパークプラグ点火方式では0.58 であったのに対し、レーザ着火では0.52 となり、より当量比を下げた場合でも図示効率を十分高く保てることがわかった。このことから、レーザ着火により希薄可燃限界が拡大できることを確認した。

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【問い合わせ先】
技術本部 玉野技術開発センター
TEL 0863-23-3003 稲見 昭一
4. 低温プラズマ技術を応用した舶用発電機関用DPF の開発
加藤寿仁、茨木彰一、松岡克憲、今井兼久

舶用ディーゼルエンジン(DE)の排出ガスは、国際海事機構によるNOx 規制が2005 年5 月に発効されて以来,全世界で規制されてきており、粒子状物質(PM)についても近い将来規制対象となる情勢にある。国内でも東京都において、内航船の港湾内での排ガス規制化が進められつつある。また、自動車運搬船やコンテナ船を運航する船主、船舶運航管理会社では、港湾停泊時に中速DE 発電機関から排出されるPM、特にスス(Soot)による積荷汚染の防止を要求していることから、脱じん装置(DPF)の需要が見込まれる。
三井造船及びダイハツディーゼル株式会社は、このような顧客ニーズに対応すべく、1 MW 出力、A 重油2000 ppm 硫黄使用の中速DE 発電機関を対象として、低温プラズマ技術を応用した脱じん装置を2007 年より開発してきた。本報では、小型のベンチ試験の定常運転で単段時50%、2 段直列時70% の脱じん率を達成できたこと、また、1 MW 出力DE 向け脱じん装置の性能試験を実施して、単段時の脱じん率50% と、捕そくしたPM の連続酸化性能を確認できたことについて述べる。

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【問い合わせ先】
技術本部 千葉技術開発センター
TEL 0436-41-1102 加藤 寿仁
5. 高エネルギー電子プラズマの生成方法及び窒素酸化物の分解への応用
吉田卓史、弓井孝佳、木村憲明

近年、窒素酸化物による大気汚染が世界的な環境問題を引き起こしており、早期の解決が要望されている。本報では、ディーゼル機関等の排気ガスに含まれる窒素酸化物を、高い化学反応促進力をもつ大気圧プラズマにより分解することを目的とし、まず、高電力効率の高周波プラズマ生成技術の理論的検討及び実験結果について述べる。次に、プラズマの状態を診断するための計測技術として、窒素ガス温度や電子密度の測定及び生成ガスの成分分析について実験を行った結果について述べる。最後に,NO を含んだ模擬排気ガス中でプラズマを発生させ、CW モードプラズマとRF バーストモードプラズマの二通りの方法でNO 分解実験を行った。バーストモード及び再循環機構により、約10% の酸素雰囲気中でNO 濃度210 ppm をほぼ0 ppm へと低減することに成功した。

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【問い合わせ先】
技術本部 玉野技術開発センター
TEL 0863-23-3021 吉田 卓史
II 技術論文・報告
1. 疲労耐久性に優れるコンクリート合成鋼床版桁橋の開発
浅野浩一、松田秀一、曽我 明、内田大介、小林 潔

昨今、都市部や湾岸地域の重交通路線で鋼床版の疲労問題が顕在化し、多くの橋梁で補修・補強が行なわれている状況が報告されている。そこで、三井造船は、鋼床版で疲労上弱点となる細部構造を改善した疲労耐久性の高い新形式橋梁として、鉄筋コンクリート床版と鋼床版を合成させた床版を有するコンクリート合成鋼床版桁橋を開発した。また、この橋梁形式は、製作性の合理化を行うことで、鋼床版桁橋に比べ10%程度のコスト縮減を可能とした。
本研究開発では、本橋の実用化に向けた検討として、架設時に着目した座屈解析、孔あき鋼板ジベル(PBL)の押し抜きせん断試験を行い、合理的なPBL の設計法を提案した。さらに、モデル試験体を対象とした輪荷重走行試験と定点疲労試験、非線形FEM 解析を実施し、高い疲労耐久性を有する床版形式であることを確認した。

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【問い合わせ先】
鉄構・物流事業本部 鉄構運搬機工場 鉄構設計部
TEL 097-593-3773 浅野 浩一
2. 草本系バイオマス由来熱分解タール含有化学種の特定
宮地 健、宮川 満、片桐 学、神田伸靖、則永行庸

バイオマスの液体燃料・化学原料への転換技術は、化石資源使用削減による地球温暖化防止技術の一つとして注目されており、中でもガス化技術は多様なバイオマスを原料にできる特長を有する。本研究は、バイオマス由来熱分解揮発成分の気相反応を素反応速度モデルを用いて解析し、ガス化炉出口ガス組成推算技術の確立を目指したものである。本報では特に草本系バイオマス由来熱分解揮発成分に含まれるタール成分(化学種)の特定について報告する。
草本系および木質系バイオマスの急速熱分解実験の結果、草本系バイオマスのパームヤシ空果房(Empty Fruit Bunch)からは、同じ熱分解温度においてタール成分を含む凝縮成分がより多く生成されることを確認した。また、そのタール成分をガスクロマトグラフ質量分析計にて分析した結果、約85 wt% のタール成分の化学種を特定した。

全文(436KB)

【問い合わせ先】
技術本部 千葉技術開発センター
TEL 0436-41-1102 宮地 健
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