三井造船技報

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三井造船技報

第219号
三井造船技報 第219号(平成29年7月発行)
表紙説明:
浮体式洋上風力発電施設“ふくしま未来”と運転状況などの組写真
“ふくしま未来”
“ふくしま未来” は、経済産業省委託事業「平成23年度浮体式洋上ウィンドファーム実証研究事業」において建設された浮体式洋上風力発電施設である。2MW風車を搭載しており、福島県沖の水深120m、離岸距離約20kmに設置されている。平成25年夏に設置が完了し、その冬には発電を開始した。三井造船は福島洋上風力コンソーシアムの中の1社として本実証研究事業に参画し、“ふくしま未来” の計画、設計、調達、建造、設置、メンテナンスを担当した。実証試験においては様々な貴重なデータを収集し、動揺する浮体の頂部に搭載された風力発電装置が陸上と同等の発電性能を発揮することを確認することができた。台風や落雷を経験したが、現在に至るまで大きな故障もなく順調に発電を継続している。“ふくしま未来” は同海域に設置された他の浮体式風力発電設備と共に、日本のみならず世界における浮体式洋上ウィンドファームの先駆けとなることが期待されている。
① ふくしま未来
② 出渠
③ 落雷
④浮体へのアクセス
⑤暴風時状況
写真出典:福島洋上風力コンソーシアム


III 製品・技術ニュース
全文PDF(1,223KB)

  • 桜島港フェリー施設の大規模改修(第1 期)
    -桜島港施設整備工事(その1)-

    【問い合わせ先】
    三井造船鉄構エンジニアリング株式会社 沿岸事業部 玉野工場 工事部
    TEL 0863−83−9800 島村 隆司


  • 働き方改革への対応を支援する“TIME-3X”の販売を開始
    -強くて優しい会社づくり、はじまります。-

    【問い合わせ先】
    三井造船システム技研株式会社  ビジネス事業本部 営業統括部
    TEL 043−274−6166 植島 尚樹

I 製品・技術解説
1.前処理設備を付加した新たな膜脱水分離プロセスの提案
村上 高弘
全文(167KB)

【問い合わせ先】
三井造船マシナリー・サービス株式会社 大阪事業所 技術部
TEL 06-6681-1720 前川 和也

II 技術論文・報告
1. 福島沖2 MW 浮体式洋上風力発電実証事業の成果
今北明彦、長拓治、神永肇

日本では様々な理由から陸上風車を設置できる場所は限られている。また、洋上風力発電では着床式に適する浅海域が少なく、浮体式の開発が必要とされる。平成23 年度から開始された経済産業省委託研究事業「浮体式洋上ウィンドファーム実証研究」では、三井造船は11 の企業、大学、研究機関からなるコンソーシアムのメンバーの1 社として参画し、セミサブ(セミサブマーシブル)形式を採用した2 MW 発電施設“ふくしま未来”を建設し、平成27 年度まで5 カ年度に渡り、計画、設計、建設から稼働、メンテナンスまでを行った。2013 年11 月に発電可能状態になり、同12 月1 日から発電を開始し、2016 年12 月まで3 年間大きな故障もなく発電を継続してきている。セミサブ形式では日本初、世界でも2 番目の実証試験である。なお、平成28 年度からは「福島浮体式洋上ウィンドファーム実証研究」として“ふくしま未来”を運転中であり、種々の運転データを集積している。

全文(213KB)

【問い合わせ先】
  船舶・艦艇事業本部 事業開発部
TEL 03−3544−3345 長  拓治

2. 発電機トルクの制御による風力発電装置の制振と出力平滑化の基礎検討
小川靖之、中田成幸、小野純二、吉田茂雄、梶原宏之、朱洪忠

大型風車における実際的な課題の一つとして、発電出力の安定化(風エネルギーの制限、発電機出力の平滑化)と機器の疲労低減(ドライブトレインの安定化・制振)を同時に満たすような制御が望まれている。これらの制御は、操作量を介して互いに影響し合うため、同時に達成することが難しい問題である。本研究開発では、これらの課題に対する基礎的検討を行い、制御手法の一案を示した。一般に、鋼製部品の疲労は、繰返し荷重による累積的な現象として扱われることから、疲労低減のためには、高周波振動を取り除くことが有効と考えられる。一方、発電出力の安定化については、変動の大きさに対してより関心があると思われる。そこで、発電機回転数から発電機トルクへのフィードバック制御において、制御目的を周波数領域で分け、低周波域は出力の平滑化、高周波域はドライブトレインの安定化・制振を主眼においた制御手法を検討した。この制御に用いる新たなフィルタ(DTD)は、バンドパスフィルタとハイパスフィルタを組み合わせた簡単な形であり、実装面からも優れると考える。本制御手法による効果は、非線形風車シミュレーションによって確認し、発電出力の安定化と機器の制振を同時に改善する結果を得た。

全文(184KB)

【問い合わせ先】
  技術開発本部 技術開発センター
  TEL 0863−23−3061 中田 成幸

3. 追分橋耐震補強工事が完工
- ロッキング橋脚を有する特殊橋梁の大規模地震対策 -
高田孝史朗、青山智明

兵庫県南部地震や東日本大震災を経て我が国では耐震設計基準の大幅な見直しが図られ、供用後約50 年が経過している名神高速道路でもそれらにのっとった数々の耐震補強工事が行われている。今回報告する追分橋は、中間橋脚にロッキング橋脚を有する鋼3 径間連続箱桁橋であり、耐震設計検討を行ったところ、中間橋脚を新設橋脚に取替えかつ橋梁全体を免震構造化する大規模な耐震補強工事が必要となった。しかしながら、本橋の桁下の地理的条件は厳しく、主要幹線道路である国道1 号や京阪電鉄の電車軌道をまたぐ高速道路であり、これらを長期的に通行止めして耐震補強工事を行うことが困難であった。そこで本工事では橋脚の取替えを工夫し、供用線の安全性を確保しつつ省スペースで下部工を交換する方法として、新たに橋脚取替工法を考案し適用した。本文では、追分橋の非線形動的解析を用いた現橋耐震性能照査や耐震補強検討結果を示すとともに、実際に施工した中間橋脚の取替え工法の詳細について報告する。

全文(857KB)

【問い合わせ先】
  三井造船鉄構エンジニアリング株式会社 技術本部橋梁設計部
   TEL 06−6446−3101 高田 孝史朗

4. 舶用ディーゼル機関 架構へのピーニング処理の適用
八木伸曉、木村陵介、長﨑俊憲、下野大地

ピーニング処理は、材料表面を何らかのツールで連続的に打撃する方法であり、これにより表面形状を滑らかにするだけではなく、塑性変形により圧縮残留応力を付加させ、疲労強度を向上させる。一方で、その疲労強度向上効果は適用箇所の応力状態によって異なり、確実に施工を行わなければ低減する。三井造船では、疲労強度向上を目的にグラインダ処理を適用していた舶用ディーゼル機関(DE)架構の溶接部を対象に、金属ピンによるピーニング処理の適用を検討した。 適用に際して、まずは実機を想定した荷重伝達型のT 継手試験体を用いた疲労試験を実施し、ピーニング処理が従来と同等の疲労強度を確保できることを確認した。加えて、ピーニング処理の品質管理体制を構築した上で、グラインダ処理の代替としてピーニング処理を実機に適用した。その結果、従来のグラインダ処理に比べて施工時間を半減するとともに、粉塵・切り粉が発生しないことで現場の作業環境が改善することを確認した。

全文(208KB)

【問い合わせ先】
   技術開発本部 技術開発センター
  TEL 0863−23−3021 赤瀬 雅之

5. 樹脂摺動部材の長寿命化に向けたDLC コーティング技術の開発


樹脂材料は輸送用機器や産業用機器などの摺動部位に用いられているが、耐摩耗性を向上させることができれば機器の差別化・機能強化につなげることができる。ダイヤモンドライクカーボン(DLC)は低摩擦係数を有する耐摩耗性コーティング膜として知られているが、従来技術では高分子材料への適用は主に化学気相堆積(プラズマCVD)法で行われており、三次元形状の大型部品へ適用する場合には制限があった。三井造船では比較的大型部品への適用、かつ、量産化が可能な物理的気相堆積(PVD)法に着目し、そのプラズマを発光分光法を用いて高い精度でモニターし、イオンエネルギーを制御することにより、摺動性が高く比較的高硬度なDLC 膜を低温条件で絶縁材料上に形成する技術を開発した。また、当技術を実際に種々のエンジニアリングプラスチックに適用することにより、その耐摩耗性能が15%以上向上する結果も得られており、今後様々な機器への応用展開が期待できる。

全文(165KB)

【問い合わせ先】
   技術開発本部 技術開発センター
  TEL 0863−23−3001 小西 益生

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