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2009年

2009年3月24日
超小型の管路調査用水中ロボットを開発
-断水せずに圧力導水管内を調査できる直径60mmの水中ロボット-
老朽化した水道管などの調査に威力を発揮

超小型の管路調査用水中ロボット

三井造船株式会社(社長:加藤 泰彦)は、断水することなく流れのある圧力導水管内の状態を調査できる「管路調査用水中ロボット」を開発し、このほど実フィールドにおいて実証運用を終了しました。


本水中ロボットは、圧力導水管(500mm以上)内部の継手の状況や腐食の状況などを断水せずに調査することが可能なロボットで、操縦・記録装置、水中ロボット本体、水中ケーブル(映像・制御)および不断水挿入装置(ロボット挿入装置)から構成されます。本ロボットシステムでは、ケーブルの繰出し/巻込み及びロボットの操縦を1人の操作者で実施することが可能となりました。


調査にあたっては、導水管の点検口(マンホール)に設置されている空気抜弁を取り外し、そこに不断水挿入装置を取り付けた後、水中ロボット本体を導水管内に送り出します。
水中ロボット本体は直径60mmの超小型で、75mm以上の既設の空気抜弁から挿入回収ができます。


水中ロボット本体には、カメラ(側方)、照明灯(・側方)、スラスタ(前進用)、浮力調整装置を装備し、水中ケーブル(300m)を通して地上に設置した操縦・記録装置のモニタで管内の状況を見ながらロボットを操縦し映像を記録します。
水中ロボット本体は、導水管の内の流れを利用して、浮力調整装置を使用して管壁に接近し、側方カメラで管壁の近接観察を行います。側方カメラ部には、旋回機能・ピント調整機能を備えています。
なお、濁度にもよりますが流れのある導水管の下流方向の調査可能距離は300m、流れがない導水管では上流・下流方向とも50mまでの調査が可能です。


今回、実証運用を行った導水管では内径600mmの導水管上部に設置された呼び径75mmの空気抜弁より水中ロボットを送り出し、断水状態(導水管に圧力はかかっているが流れがない状態)で52m、不断水状態(導水管に圧力はかかっており流れがある状態)で152mまでの管内を進行し(最大流速0.6m/s、4mごとの継手の状況を撮影)撮影を行いました。


水道管をはじめとして、工業用水、農業用水など全国各地には地中に埋設された圧力導水管があり、1960年代より急速に建設が進められた水道管をはじめてとした導水管は老朽化が進んでおり、調査・補修が急務となっています。
しかし導水管の水を止めて調査をすると断水が広範囲に及ぶことから、従来は内部の状況を調査することが困難でした。


本調査用水中ロボットは断水せずに調査が可能となることから、今後本水中ロボットの需要が高まるものと期待されます。


三井造船は、世界最高の水深10,000mまでの潜行能力を持つ「かいこう」をはじめ、小型の水中テレビロボットや自律航行型の水中ロボットなど、水中機器の分野で数多くの実績を有するとともに、水中ロボットを使用した各種の水中調査でも600件以上の運用実績を有しています。


主要目
水中ロボット本体 寸法 直径60mm×長さ450mm
質量 約1.1kg(中性浮力)
最大使用水圧 1MPa
最大使用流速 2m/sec
水中ケーブル長 300m
対象水道管径 500mm以上
挿入口 呼び径75mm以上の空気抜弁、等
水中ロボット本体進行方向及び調査距離 流れのある導水管:管の下流方向、300m
流れのない導水管:管の両方向、50m
担当
船舶・艦艇事業本部 特機・水中機器部 野口  電話:03-5202-3521
東北支社 山田  電話:022-262-3481
お問い合わせ先
広報室 乾  電話:03-5202-3147