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2009年

2009年12月07日
水中ロボットRTV-KAMを用いた2500m水路内部点検を実施
-水中ロボットで初めての超長距離点検に成功-

水中ロボットRTV-KAM

三井造船株式会社(社長:加藤 泰彦)は、株式会社環境総合テクノス(本社:大阪市中央区)より関西電力株式会社舞鶴発電所(京都府舞鶴市字千歳)の取・放水路の内部点検を受注し、当社製水中ロボット(RTV-KAM)を用いてこのほど調査を10月30日に完了しました。


今回実施した放水路内部点検では、発電所構内にある放水路中間ピットから水中ロボットを投入し、放水口立坑までの放水路トンネル2,500m(高さ、幅6.2mの馬蹄形)の点検を行いました。


これまでは当社では1,500mを超えるケーブルは無く、1,500mを超える水路点検は不可能でしたが、今回新たに2600m水中ケーブルを製作し、初めて超長距離の水路内部点検に成功しました。
この成功により、長距離水路が多くある農業用水・工業用水・水道用導水路などパイプラインにも適用できるようになり、水中ロボットRTV-KAMの活用範囲が一段と広くなり、多くのパイプラインの内部点検が可能になりました。


今回の水路内部点検で使用した水中ロボットRTV-KAMは、当社と関西電力株式会社が1988年に開発し、関西電力をはじめとする水中土木設備(取・放水路及び管、護岸など)の点検調査を200回以上手がけてきた実績があります。
RTV-KAMは水路内面の調査用の360度旋回式TVカメラに18倍ズームカメラを採用し、水中構造物の損傷等の寸法等も詳細な点検・計測ができる水中ロボットです。


当社は、小型水中ロボットを用いた水中点検事業を1985年より展開しており、現在までに700件以上の各種点検調査工事を行っています。従来は、火力発電所の冷却海水取水路や放水路の内部点検、あるいは、ダム貯水池の水中土木設備の点検がほとんどでした。
一方、水道、工業用水、農業用水、下水道、各種導水路などに使用される管路は、1960年代の高度成長期に集中して整備され、耐用年数の時期に近づいているといわれています。
また、老朽化の他に地震等の自然災害もあり、管路の維持管理のための内部点検の重要性がクローズアップされています。


管路は内部の水を抜くことにより、人間が入り点検を行うことができますが、管路によっては水を抜くことができないところがあり、この場合はダイバーによって調査が行われています。しかし、管路の入口と出口の距離が長い、水の流れがある、管路の断面が小さいなどの条件により、ダイバーによる点検ができないことがあります。
管路は日本全国に網の目のようにあり、生活に欠かすことができない社会資本となっていますが、そのストックメンテナンスを行うためには、定期的な点検を行うことが重要であり、人間(ダイバー)による調査ができない管路の内部点検に小型水中ロボットが活躍するものと期待されています。


当社の水中ロボットは水中ケーブルを通して最大2.5kmまでの管路の画像等リアルタイムで見ることができます。
一方で、当社は水中ケーブルを必要としない自律航行型水中ロボットによる超長距離の活用も検討しています。


当社は各種の小型水中ロボットの開発を通して、各種社会資本の維持管理に寄与する提案を今後も積極的に行っていきます。


[主要目]
水中ロボット本体
寸法
質量
長さ1852mm×幅700mm×高さ550mm
約106kg(海水中性浮力)
最大使用深度 100m(海水)
静水時最大自航速度 1.5m/sec
曳航時最大対水速度 2.5m/sec
最大水中ケーブル長 2600m
対象管路寸法 口径2000mm以上(ただし、曲がり、投入口による制約有)
投入口 口径1000mm以上
[担当]
関西支社
担当 田渕  電話:06-6447-2004

船舶・艦艇事業本部 特機・水中機器部
担当 野口  電話:03-5202-3530
お問い合わせ先
広報室 乾(いぬい)  電話:03-5202-3147