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2010年

2010年05月27日
水中ロボットを用いた17箇所のサイホン管内部調査を実施
-人やダイバーではできない小口径サイホン管の点検-

Mitsui RTV-50

三井造船株式会社(社長:加藤 泰彦)は、株式会社日本水工コンサルタント西部支店(支店長:若宮 洋氏)より農業用水における管路調査を受注し、このほど調査を完了しました。
今回の調査対象は、人による調査が困難な小口径のサイホン形状(U字管のような形状)でしたが、当社最新鋭の水中ロボットにより効率的に調査を行うことができました。


小型水中ロボットを用いた水中点検事業は1985年より展開しており、現在までに700件以上の各種点検調査工事を行っています。その多くは、火力発電所の冷却海水の取水路や放水路の内部点検やダム貯水池の水中土木設備の点検でした。


今回、調査を行った農業用水路のような1960年代の高度成長期に集中的に整備された管路設備は、耐用年数の時期に近づいていると言われています。設備の老朽化のほかに地震等の自然災害もあり、管路設備の維持管理のための内部点検の重要性もクローズアップされています。管路設備は内部の水を抜いて人による点検もできますが、管路設備によっては、水が抜けないものあり、この場合はダイバーによって調査が行われています。しかし、管路の口径が小さい、サイホン形状の管路、水路が長いなどの管路設備の条件によっては、人による点検ができないことがあります。


受注した17箇所の管路調査は、1月22日から30日かけての9日間行われ、管路はすべてサイホン形状で、管の口径500~1000mm、管路長14m~570mであり、人による調査ができないものです。


今回の管路調査で使用した水中ロボットは、既に300台以上の販売実績を有した水中テレビロボRTVシリーズのうち、水中ロボットの機首を上下にできるトリムコントロール機能を有したRTV-100MKⅡ(管の口径800mm以上に使用)とRTV-50(管の口径800mm以下に使用)で、狭隘な投入口を通して水面まで下ろすことができ、小口径のサイホン管を効率的に点検できる小型水中ロボットです。


管路設備は日本全国に網の目のようにあり、その種類は水道、工業用水、農業用水、下水道、各種導水路などがあります。これらの生活に欠かすことができない社会資本のストックメンテナンスを行うためには、設備の点検が重要であり、人によってはできない管路設備の内部点検に小型水中ロボットが活躍するものと期待されています。


水中ロボットは水中ケーブルを通してリアルタイムに管路設備の画像等を見ることができますが、水中ケーブルの長さに制限(2500mまで達成)されるために、水中ケーブルを持たない自律航行型水中ロボットによる超長距離の活用も検討されています。


三井造船では各種の小型水中ロボットの開発を通して、各種社会資本の維持管理に寄与する提案を今後とも行っていきます。


[Mitsui RTV-100MKⅡの概要]
使用深度 150m
寸法 約100cm×約53cm×約52cm(長さ×幅×高さ)
重量 約38kg(空中重量)
速力 約3.0ノット(最大前進、静水時)
最大ケーブル長 1,200m
最小点検可能管路内径 0.8m
[Mitsui RTV-50の概要]
使用深度 50m
寸法 約51cm×約34cm×約35cm(長さ×幅×高さ)
重量 約9kg(空中重量)
速力 約2.0ノット(最大前進、静水時)
最大ケーブル長 75m
最小点検可能管路内径 0.5m
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