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2017年

2017年05月10日
日本で初めての「機械式波力発電装置」を設置
―波力発電 実証試験を神津島沖合で開始―

機械式波力発電装置
三井造船株式会社(社長:田中 孝雄)は、東京都伊豆七島の一つである神津島の北側に位置する黒根沖で離岸距離800m、水深32mの外洋に、日本で初めて「機械式波力発電装置」を設置し、波力発電の実証試験を開始しました。

本プロジェクトは、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)との共同研究(共同研究事業)で、2011年度から開始した「海洋エネルギー発電システム実証研究」の一環です。
NEDOと三井造船と共同研究で実施し、三井造船から五洋建設、東京大学にそれぞれ委託を行い、開発を進めています。全体のとりまとめを三井造船が実施、現地施工は五洋建設に、海洋観測・シミュレーションは東京大学に協力して貰い、4月17日に設置工事を終え、同日に発電を開始し安定した発電を継続しています。
実証試験は、新たな運転制御方法の効果、荒天時の耐久性の確認など種々の実証項目を確認し、2017年の夏頃まで実施する予定です。

装置の主な仕様は、装置定格出力3.0kW(装置の発電可能能力)、全長約13m、フロート直径2.7m、スパー(円柱部)直径1.0m、空中重量約10トンです。また、実証期間中の平均発電量は600Wを想定しています。今回の実証試験では、装置で発電した電力量を逐次把握し、各種計器類、通信機器で電力を消費するのみで神津島との系統連系は行いません。余った電力は搭載している容量20kWhのリチウムイオン電池に常に供給し、発電量が低下した時期のバックアップに役立てるシステムとなっています。

「機械式波力発電装置」の開発では、欧米に比べて比較的波エネルギーが小さい日本近海での発電効率の上昇と、豊富な漁場との共存を考慮した設置面積の最小化を取り入れています。三井造船が造波装置で培ってきた制御技術を用い、発電機をモータとして使って装置を励振させることで、より大きな発電量を得るものです。

機械式波力発電装置は、波によるフロートの上下運動を機械的に回転運動に変換して、発電機で発電を行うものです。波が発電装置にあたると、そろばん珠状のフロート、その上部にあるブリッジ、ブリッジの中央についている下向きのロッドが一体となって上下運動を行い、ロッドがスパー上部を貫通する仕組みになっています。

一方で、スパー下部にはヒーブプレートと言われる円盤がついており、フロート側の動きに追従しない構造になっています。この相対的な運動がロッドの上下運動となり、スパー内部側のロッドの先端にあるボールネジにより上下運動が回転運動に変わり、同じくスパー内にある発電機を回転・発電させる仕組みです。(写真、運転時の装置写真参照)

三井造船は2008年から機械式の波力発電の研究を開始し、約9年をかけて沖合に設置可能な発電装置が完成し、小規模ながらも実証試験が出来る段階にきました。
担当部署
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