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地球には夢がある
三井造船株式会社
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03
夢と希望の風車を、海へ。
福島復興 浮体式洋上ウィンドファーム実証研究プロジェクト

強い風を受ける巨大な風車を、陸ではなく海に、立てて浮かべる。
この難題に、海洋構造物の建設で数多くの実績ある三井造船が、
技術を活かし、挑戦をつづけています。
福島復興の想いも託された、洋上風力発電プロジェクトの最前線をレポートします。

福島沖を再生可能エネルギーの再生地へ
浮体式での洋上風力発電への挑戦。

日本の想いを託されたプロジェクトで、今、三井造船が懸命の挑戦を続けています。そのプロジェクトとは、経済産業省から委託を受けた11の企業と大学がコンソーシアムを組んで取り組む「浮体式洋上ウィンドファーム実証研究プロジェクト」。福島県沖に、2MWのダウンウィンド型浮体式発電設備1基と、25MVA浮体式洋上サブステーション、海底ケーブルを設置。さらに2015年度までの第2期で7MW級浮体式発電設備2基を設置し、浮体式洋上風力発電の事業化に向けた実証研究を行うものです。
「着底式」ではなく、発電設備を洋上に浮かばせる「浮体式」での風力発電は世界でもまだ実用化されていない方式。先駆けてノウハウを蓄積することで日本の強みとし、また、再生可能エネルギーを中心とした新たな産業・雇用の創出で福島の復興につなげようと、様々な課題への挑戦が急ピッチで行われています。

三井造船は、 2MWダウンウィンド型風車の
浮体建造、組立、洋上での係留までを担当

海洋での石油・ガス生産設備など、海洋構造物には多くの実績がある三井造船。東日本大震災以前の2008年から東京大学などと共同で洋上風力発電用浮体について基礎的な研究に取り組んでいました。
しかし、震災以降、再生可能エネルギー開発を急ピッチで進める国の方針もあり、2015年までに実証研究を終え、その後実用化するという高い目標が掲げられ、より多くの企業が参画する国家プロジェクトとなって、急加速します。三井造船は2011年から2013年の第1期工事で、2MWダウンウィンド型風車の浮体の建造、風車の搭載、洋上への設置までを担当することになり、前例のないチャレンジが始まったのです。 検討の結果、三井造船が採用した浮体の方式は、構造物の下部が半分海面の下に沈み込む半没水型のセミサブマーシブルフローター。波や潮流による上下動や水平移動が少なく、悪天候でも安定した状態を確保することができるもので、6本の係留索で海底に繋ぐシステムとし、製造にとりかかりました。
そして2013年6月には、三井造船千葉事業所で風車を搭載し、組立が完了。海上に浮かべ、福島県の小名浜港にむけて曳航を開始すると、海を進む風車に世界の注目が集まりました。8月には研究の実施海域である福島県沖20kmの地点に係留。他社製の洋上サブステーションの係留や、ケーブルの接続も行われると、11月には運転を開始し、12月には実証試験をスタートさせることができたのです。

「会社をあげて取り組む態勢で、
ここまで乗り越えることができました。」

この案件に三井造船が参画を始めたときのメンバーであり、今も三井造船チームを率いる事業開発部長 今北明彦に、試運転開始までの道のりを聞きました。
「苦労した点は数えればきりがありません。まず、日本ではほぼ前例がないので、安全面の基準やルールさえ整備されていませんでした。風車からの荷重が浮体にどんな影響を与えるのか、その解析ツールも整備されていません。さらに海底の地盤や水深、波風潮流の強さなど、設計前に調べ上げるべきことも、その順番では行えませんでした。気が遠くなりましたね。アンノウンファクターをどのくらいに設定するかという判断をしながら、初めての設計を進めていきました。
しかし、我々には、海洋構造物の設置経験もある三井海洋開発というグループ会社や、三井造船昭島研究所がありました。社内にもエンジニアリング事業本部に風車の組立の実績があり、旧鉄鋼事業本部のほうではポンツーン(浮桟橋)の設置工事も経験していました。全社をあげての協力体制を築き、持っていた技術をつないだことで、様々な問題を乗り切ることができたと言っていいでしょう。」

今北 明彦 今北 明彦
三井造船 船舶・艦艇事業本部
事業開発部 部長

「困難への挑戦が
確実に技術を進歩させています。」

困難な課題ほど、それを乗り越えたとき、技術は大きく前進する。今回もさらに進んだ技術を三井造船は習得しつつあると今北は言います。
「風車と浮体の連成解析の技術は確実に習得しました。それから係留の技術もさらにノウハウを蓄積できました。今回、数十のセンサーを浮体に積んでいるので、そこからの情報を得ることで、今までの解析や設計手法が合っていたのかを検証することもできるでしょう。また、初めてのものを短納期でつくっていますので、よりコストダウンできるところも見えてきます。この経験は、石油産業用の海洋構造物の技術にも必ず活かされていくと思います。
まずは、この浮体式洋上風力発電の事業化をメインターゲットとして必ずやり抜きたいと思っています。開発というものは担当する人の執念で決まる。言い出しっぺである自分が最後までやり抜くぞと思って、取り組んでいきます。」
実証研究中の2MW風車と変電設備に続き、現在は第2期工事が進行中。2015年には世界にも例のない規模の洋上ウィンドファームができあがる予定です。きっとできる。つくりあげてみせる。福島沖を再生可能エネルギーの生産地へ。技術の夢と執念が、今日も荒波を越え、風車を支えています。