project

プロジェクト

総合道路診断システム

レーダーとレーザーのハイブリッド探査で、
老朽化した道路の膨大なデータを高速で処理。

三井E&Sグループの「知られざる技術」の一つがレーダーだ。ただし、空中や水中の探査ではなく、コンクリートの内部を調べ、3次元画像で表示できるというもので、その技術が社会インフラの整備に活かされようとしている。

森島 弘吉

Hiroyoshi Morishima

(株)三井E&Sマシナリー
社会インフラ担当
[グループ長]

独自のレーダー技術で日本のインフラを守る

 日本では高度成長期に建設が進んだ社会インフラの老朽化が問題になっている。そんな課題に対して三井E&Sグループとして出した答えの一つが、自動車に搭載して自走しながら道路の問題点を探る自動探査システムの開発だ。
 「マルチパスリニアアレイレーダー(MPLA)という特殊なレーダーを使った構造物の解析は私たちが独自に開発した技術で、土木の世界に大きな進歩をもたらしています」
 そう説明するのは、レーダー技術を活用した事業開発のリーダーである森島弘吉だ。彼はもともと流体の専門家で風洞試験や装置開発などをしていたのだが、自ら手をあげて、社内のジョブローテーションでレーダーグループに来てその魅力にハマり、レーダー開発一筋となった。それだけに、担当する製品への思い入れは強い。
 「MPLAの最大の特色は、コンクリートなどの内部を高精度の3次元画像にできる点にあります。つまり、破損の原因となる空洞やジャンカ(打設不良で脆くなった部分)、クラック(ひび割れ)などの状態を誰でも理解できるように見せることができるので、迅速な対策に役立つのです」
 MPLAは、これまで主にトンネルの検査などに利用されてきた。
 「MPLAは多数のアンテナで送受信できるという特長から、面的な調査が可能となります。また、車両に搭載して走行しながら連続検査することによって、長いトンネルでも効率的に調べられ、今では保全には欠かせない装置となっています」

レーザー探査に強い企業との協業で新製品を

 そんな森島が、ここ数年、中心になって開発してきたのが、道路の路面を調べる新しい探査システムだ。
 「道路内部の探査方法としてレーダー技術は一般的に使われていますが、他社との差別化という意味では、システムとしての完成度はまだ高いものではありませんでした。そこで今回は、レーザー計測装置に高い技術をもつ企業と共同で、道路内部も表面も一度に調べられる装置をつくろうと考えたのです」
 これまでの道路の検査では、レーダーなどによる路面下空洞や橋梁床版損傷などの探査と、レーザー光による表面のひび割れや損傷状況などの探査・管理は別々に行われてきた。それぞれ使う装置が異なるためそうなってしまったのだが、今後は、より効率的、かつ、正確な診断が求められる時代になるという。
 「例えば、内部に空洞ができていても表面形状に変化がなければ、場合によって問題は少なく補修の優先順位も下げられるのですが、もし表面に凹凸やひび割れ等の変状が発生していたら、陥没の危険性は増し、すぐにでも補修しなければなりません。このような総合判断ができれば、道路の健全性はより守られるでしょう」

膨大なデータを自動で処理し、診断するシステム

 レーダーとレーザー、それぞれが得意とする探査装置を1台の車両に積めば、1回走らせるだけで両方の検査が可能だ。しかし、問題はそこから先である。
 「例えば高速道路上を他のクルマに迷惑を掛けずに検査していくには、時速80km以上で走行する必要があります。私たちのMPLAレーダーの技術をベースに道路用多測線レーダー装置を開発、幸いそのスピードに対応できたものの、そこで新たな問題が生じました。次々と送られてくる膨大なデータを高速で処理できなければ、探査システムとして成り立たないのです」
 しかも、今回はレーザー探査による道路表面のデータと比較検証し、総合診断するシステムにしなければならない。
 「人の目で判断していては間に合いませんから、自動診断システムにする必要があるのですが、これまで道路内部と表面を同時に検査したことはないので、それぞれがどういう状態のときにどういうリスクがあるのか、その基準から一つ一つ考えていかなければなりません。この部分はまさに手探りであり、開発には大変な苦労を伴いました」
 それでも開発プロジェクトは3年目に入り、先行していたトンネル検査では性能的にはかなり満足できるレベルになってきた。あとは、このシステムを道路探査に展開し、実際に使用してもらい、その結果などをもとに、さらに完成度を高めていく作業になる。
 「今はこのシステムを使ってもらおうと、道路を管理する会社や行政機関に積極的に働きかけを行っています。エンジニアだっただけに慣れない仕事も多いのですが、自分たちの開発した技術を自分たちで広めていく作業ですから、やりがいはあります。新製品の事業化を任せてもらっているのですから、こんな楽しい仕事はありません」

private

夏になると社内の仲間などとフジロックフェスティバルに参加し、テントで3日間、めいっぱい楽しんでくる。「もう恒例行事になっているので、平日に重なるところは休ませてもらっています。いい職場だと感謝しています」

mydream

レーダーの技術はさまざまなかたちで新事業に結びつけられると考えている。全く新しいビジネスをスタートさせ、その事業体となるグループ会社を起業できる規模まで事業拡大していくのも夢の一つだ。

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