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「ロボット計測ソリューション」の可能性

三井E&Sシステム技研
営業本部 東日本営業統括部 第一営業部 新規事業推進室 髙橋 祐輝さん(右)と
製造事業本部 インダストリ・システム事業室 DEグループ 春山 雄一さん(左)

明日への視界。

より詳細で高精度且つ高速、そして大量に。
さらに進化したの計測環境の構築へ

明日への視界。

「ロボット計測ソリューション」の可能性

日本のイノベーションを支える計測技術

「それまでの受け身的だったビジネスの立ち位置が一変したんです」

三井E&Sシステム技研(MSR)が2000年から取り組んできた3D計測器の制御ソフトビジネス。計測の対象は自動車など精密機械の各種パーツ等で、試作時や製造工程内で現物の精度を検査するのが目的だ。 そのビジネスの風向きが変わったのは10年ほど前だったと、髙橋は振り返る。

「年々高精度化する工場製品の品質を支えるために、より詳細で高精度且つ大量に高速な計測が求められるようになり、それまでは環境が安定した測定室内で人の手による計測だったものを、ロボットでできないかという課題が持ち上がってきたんです」

ロボットに計測器を装着し、対象物のさまざまな箇所を多角度から計測し、より詳細で正確なデータをスピーディーに獲得する。

「そのためには、従来のような計測器制御だけでなく、同時にロボットも制御しなければなりません。しかし、それぞれを個別に制御するのでは計測がうまくいかず、計測器とロボットを統合的に制御する必要がありました」

計測器制御ソフトという単体の技術ではなく、時代が求めたのは“計測環境を構築する”という、一段高い位置から臨むソリューションだった。この風をとらえるべく、MSRは帆を広げる。

日本のイノベーションを支える計測技術

点を掘り下げるエンジニアから、カタチを創るインテグレーターへ

MSRのロボット制御技術の歴史は、三井造船とともに開発してきたエンジン溶接ロボットに始まる。その技術と3D計測で培ってきた知見を合わせることで、「ロボット計測ソリューション」の扉が開かれていく。

「もともとソフト開発だけを行っていたビジネスから、基盤、制御、ロボットと守備範囲が広がるため、まず取り組んだのが社内体制づくりです。各部署から多彩な人材が集結しました。

しかし、この新しいソリューションを実現させるにはさらに幅広い知識が必要と、2018年には測定器メーカー、ロボットメーカー、設備機器メーカーなど関連企業が集まって意見交換する『ロボット計測アライアンスミーティング』をMSR主導でスタート。 現在この取り組みは、『一般社団法人 三次元スキャンテクノロジー協会』として“日本の品質”を支えるために活動するとともに、企業等からの計測に関する相談窓口としても機能しています」

発足時より髙橋が理事を務める同法人は、ノウハウの集積にかけがえのない役割を果たしてきた。

ロボット計測ソリューション

成功のために必要なもの

今、“品質”と“経済性”を高める重要技術として製造業界から期待される「ロボット計測ソリューション」。その活躍シーンは大きく2つ。試作段階では、より高い精度で製品仕様を詰めることができ、製品の精密化、高精度化、軽量化や開発スピードの短縮にも寄与する。また製造工程では、不良品検出と製造効率向上に貢献。わずかな計測値の変化も見逃さないことで、製造マシンや工具の不具合を検知し、不良品の発生を未然に防ぐ役割も果たす。
昨年から某自動車メーカーの試作段階における「ロボット計測ソリューション」を構築してきた春山は、その難しさを肌で感じてきた。

「私たちのミッションは、お客様が求める計測ポイント、精度、早さなどの要件を満たすシステムを作り上げること。そのためにどんな計測器を使えばいいか、ロボットの種類やサイズの選定、それらを制御するソフトのプログラムから始まります」

1つの対象物だけでなく、同じシステムで数十種類にもおよぶ対象物を計測する。

「各対象物をどのような設置台に、どう置いて計測するかも重要です。また、計測値は工場内の震動や室温などによっても微細に影響を受けるので、周辺環境も含めて統合的に検査システムを構築しています」

『計測ボックス』と呼ばれるそのパッケージは顧客毎の要望を叶えるために最適化が求められる。たとえ計測対象物が同じでも顧客の計測要件、安全規定を満たすためには再構築が必要だ。

「今はまだ、私たちがそうしたハード面まで含めた提案ができるということはあまり知られていないので、もっとアピールしていきたい。今後は、『ロボット計測といえばMSR』と言われるインテグレーターを目指していきたい」

日本のものづくりを支えるべく、データを組み、人を組み、知恵を組み、物を組み上げて新しい価値を創る。知見集めから手探りでプロジェクトを進めてきた髙橋は、ある言葉を意識的に仲間たちに発してきたと言う。

「この事業には可能性があるんです!」

新しいビジネス領域の視界を広げるのは、携わる人間の熱さにほかならない。
※記事の内容は取材当時(2020年7月)のものです。

検証の様子

計測器メーカー、ロボットメーカー、装置メーカーの協力を得て、実車(ホワイトボディ)を使って実施した検証の様子(2015年)

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