国際海運の分野では船舶から排出されるGHG(Green House Gas)削減が喫緊の課題となり、CO2排出量をゼロにする燃料であるアンモニアを用いたエンジンの実用化は、脱炭素社会の実現に向けた大きな一歩として期待されています。
三井E&Sグループはマテリアリティの一つとして「脱炭素社会の実現」を掲げており、舶用推進システムのリーディングカンパニーとして、アンモニア焚き二元燃料エンジンとその周辺機器を含めたシステムの開発に取り組んでいます。


新燃料に対応した舶用エンジンを他社に先駆けて開発・市場投入してきた実績

三井E&Sは、1994年に世界に先駆けLNG焚きエンジンを開発して以来、様々な新燃料に対応した二元燃料エンジンの開発を行ってきました。LNGをはじめエタンやLPG、メタノールなど多様化するニーズに応えられる技術と供給体制を整えてきました。累積受注基数は75基となり(2024年12月現在)、環境対応型エンジンのリーディングカンパニーとして実績を積み重ねています。

二元燃料エンジン開発のこれまで

2015年

メタノール焚き二元燃料エンジン完成

2015年

LNG焚き二元燃料エンジン完成

2016年

エタン焚き二元燃料エンジン完成

2020年

LPG焚き二元燃料エンジン完成

2025年

アンモニア焚き二元燃料エンジンの試験運転開始

二元燃料エンジン累積受注基数

LNG
55
エタン
3
LPG
4
メタノール
13

2024年12月現在


次世代燃料として期待されるアンモニア・水素への挑戦

次世代燃料として、近年世界的に注目されているのがアンモニアや水素です。燃焼時にCO2を排出しない燃料であるアンモニアを用いたエンジンの実用化は、脱炭素社会の実現に向けた大きな一歩となります。
2025年2月に玉野工場において、ライセンサーであるEverllence社のテストエンジンを用いて行われた単気筒のアンモニア燃料試験運転の成果をもとに、大型低速2サイクルエンジン商用機では世界初となるアンモニア燃料試験運転に着手。2025年上期には、お客様に納入するアンモニア燃料エンジンを完成させることをターゲットに開発を進めています。

アンモニア焚き二元燃料エンジン 7S60ME-C10.5-LGIA-HPSCR 外観


アンモニア供給装置や燃料タンクなど周辺機器も手がけるトータルサプライヤーへ

アンモニア焚きエンジンを積んだアンモニア船を実現するには、エンジンだけでなく、そのエンジンにアンモニアを供給するための新しい燃料供給装置や、他にも新たな周辺機器の装備が必要となります。三井E&Sでは、グループ会社であるTGE Marine Gas Engineering GmbH(TGE)とともに周辺機器の開発も進めています。
エンジンと周辺機器に加え、遠隔モニタリングシステムによる安心・安全も提供することで、船舶の推進システム一式を供給できる舶用推進システムのトータルサプライヤーを目指し開発に取り組んでいます。

三井E&Sの役割

アンモニア焚きエンジン・燃料タンク・燃料供給装置を含めた推進システムを供給

アンモニア供給設備