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クレーン構造物余寿命診断事業・製品情報
長期間使用される港湾クレーンは、物流の要として日々の荷役に従事している中で損傷や、部品の磨耗はもちろんのこと、鋼構造物には疲労が蓄積され、疲労損傷へとつながる可能性を内在しています。疲労損傷とは荷重の繰り返し作用(荷役)が原因で、構造物・構造物材・継手内に疲労亀裂が発生、進展することによる損傷です。鋼構造物の疲労は目で見たり、肌で感じたりすることは難しく、クラック(疲労が目に見える状態)などに進展し、構造物の破損や倒壊につながる危険性があります。荷役作業者(クレーンユーザー)にとっても、使用しているクレーンに不安を感じている方も多いのではないでしょうか。三井E&Sグループでは、現在使用中のクレーンの構造物があと何年使用可能であるか診断(余寿命診断)し、その結果に基づいた補修・補強アドバイスを提案しています。
- クレーン構造物の物理的寿命とは
- 使用開始後の損傷、磨耗、疲労、被災等により鋼構造物の性能が低下し使用に耐えられなくなる、あるいは外力に抵抗しきれなくなる限界(日本鋼構造物協会:鋼構造物の寿命に関する調査1991.8)
規格
(社)日本鋼構造協会編 鋼構造物の疲労設計指針・同解説
対象クレーン
- 天井クレーン
- トランスファークレーン(レールマウント・タイヤマウント)
- 橋形クレーン・コンテナクレーン
- ローダー・アンローダー
クレーン構造物余寿命診断の目的
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- クレーン構造物を理解していただくため
- 現在稼動中のクレーンの構造物には寿命があります。余寿命診断で定量的に余寿命を算出することで、ユーザー皆様の構造物保守への関心が深まります。
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- クレーン構造物への不安解消のため
- 長年に渡りクレーンを使用していると、構造物に錆も目立ち始め、毎日クレーンの荷役・メンテナンスなどに携わっている方は、「このクレーンは大丈夫だろうか?」「あと何年使用できるのだろうか?」と不安を感じているのではないでしょうか。余寿命診断をすることでこのような不安を解消することができます。
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- クレーン構造物の今後の保守に役立てるため
- 余寿命診断の結果と補修改善提案は、効率的なメンテナンス・点検期間の指標となります。
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- クレーン更新の判断のため
- クレーンの更新を検討する際に、既設のクレーンを継続して使用するべきか、新しいクレーンに更新すべきかの判断材料になります。
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- クレーン構造物延命のため
- 機械部品、電気部品の更新に合わせて、余寿命診断の結果から寿命を過ぎているまたは余寿命があまりない構造部材の補修・改造補強を施工することで延命につながります。
クレーン構造物余寿命診断方法概略説明
- Step1:データの収集
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計算に必要なデータを収集します。より正確な予測結果とするために、可能な限り詳細なデータを提供していただきます。
- 計算に必要なデータ
- ・構造図面、クレーン重量
- ・改造内容の履歴
- ・過去の荷役実績(吊荷の重量、吊り回数、トロリー移動範囲)
- Step2:現状調査・測定
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- 専門技師が対象クレーンを点検し、計算に影響がある部分を点検します。
- ・付加溶接の有無 など
実質調査した結果影響がある場合は計算に取り入れます。計算精度を上げるために衝撃荷重を測定します。
- Step3:構造物データ作成
- 梁要素立体骨組データを作成します。
STRUCTURAL ANALYSIS DESIGN SYSTEM ver2 を使用し作成します。部材ごとの計算が可能です。
三井E&Sオリジナルのクレーン構造用プログラムで20年以上の実績があります。
- Step4:変動荷重選定
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- 荷役中の変動荷重を考えて計算に取り入れます。
- ・変動荷重の選定
- ・荷役サイクルの決定
- ・荷役サイクル中の荷重変動決定
- ・荷重移動範囲の決定
- Step5:変動応力計算
- STRUCTURAL ANALYSIS DESIGN SYSTEM ver2 を使用し作成します。
(このプログラムは余寿命診断の精度を高めるために改良されています。)
- Step6:継手分類選定
- 規格に従い継手分類および基本許容応力の選定をします。
適用される規格では継手は9種類に分類されていてクレーン構造物の中でも適した継手を選定することが可能です。
- Step7:累積被害度数計算
- STRUCTURAL ANALYSIS DESIGN SYSTEM ver2 を使用し計算します。
応力範囲頻度を解析し変動振幅応力の応力範囲頻度分布を求めます。その中である応力範囲レベルの頻度を求めます。
- Step8:余寿命算出1
- 該当継手の許容累積被害度数とStep7 の計算結果を比較し、余寿命を算出します。
累積損傷度 = 荷重の繰り返し(応力)回数/ 許容累積損傷(疲労寿命)
この累積損傷度≦1/ 安全係数
であれば余寿命が残っていると算出されます。
- Step9:現状構造物点検
- 算出結果を元に構造物点検を行います。
算出結果であまり余寿命がない、または寿命を経過している部分を点検し、算出結果と比較します。
- Step10:補修・改造計画
- 余寿命年数に応じた補修や補強・改造を提案推奨します。
延命処置するための補修や補強・改造を提案推奨します。